高島屋美術部創設百年を迎えられ、この記念すべき年に、『刀匠 月山貞利展』を
間催して頂けますことはこの上ない名誉でありますとともに、その責任を痛感致しております。

振り返りますと、平成二年、『人間国宝月山貞一・貞利展』に始まり、今回で六回目の
展覧会の開催となりました。これも多くの愛刀家はじめ皆様のご厚情とご支援の賜物と
心より感謝しております。

鎌倉時代初期、奥州月山鬼王丸を起源に約八百年連綿として月山伝が今日に伝承
されている事実は、刀剣史上貴重な存在でもあります。

幾多の風雪を乗り越え伝えられて参りました先祖のこの尊い伝統技術を守り、後世に
伝えるべく使命と責任を今後も果して参る覚悟でございますので、一層のご理解とご支援を
お願い致します。

 一昨年、長男貞利が文化庁より刀匠として承認を受け、刀工月山家の若き後継者として
日々修行に打ち込んでおります。

誉れの槌音とともに、刀工月山の気に満ちた精神が脈々と受け継がれる最近作を
是非この機会にご高覧賜りますようご案内申し上げます。

   平成二十年五月吉日
                              月山日本刀鍛錬道場
                                          刀工 月山貞利


刀匠「月山貞利」略歴

昭和21 (1946) 年
  人間国宝月山貞一の三男として大阪に生まれる
昭和44 (1969) 年
  大阪工業大学建築学科卒業。師貞一に就いて鍛刀の技を磨く
昭和50 (1975) 年
  高松宮賞受賞記念、刀匠月山貞利展 (大阪にて)
昭和54 (1979) 年
  刀匠月山貞利展 (大阪にて)
昭和57 (1982) 年
  新作刀展で名槍日本号模索出品し無鑑査に認定
  米国ボストン美術館での「日本の人間国宝展」で師に同行
昭和58 (1983) 年
  刀匠月山貞利展 (大阪にて)
  警視庁総監賞の短刀謹作、新作刀展に国宝丙子椒林剣模作出品
昭和59 (1984) 年
  月山一門展開催 (大阪にて)
  第61回伊勢神宮式年遷宮御料太刀7振(師との合作含)鉾3振謹作
昭和63 (1988) 年
  大阪市立博物館「出羽三山と月山刀匠展」出品
  米国ボストン美術館に於いて「月山歴代とその伝統展」開催



平成元 (1989) 年
  奈良県立文化会館「八百年の伝統月山歴代展」開催
平成2 (1990)
  刀匠月山貞一・貞利展(東京日本橋島屋)
平成5 (1993) 年
  刀匠月山貞利展(東京日本橋島屋)
平成6 (1994) 年
  刀匠月山貞一・一門展(大阪にて)
平成7年 (1995) 年
  奈良県桜井市芽原に月山記念館開設。全日本刀匠理事長就任
  (財)日本美術刀剣保存協会評議員、新作刀展審査員、文化庁主催
  刀匠技術保存研修会講師となる。 横綱貴乃花の太刀謹作
平成8 (1996) 年
  奈良県立美術館「人間国宝刀匠月山貞一回顧展〜その技と伝統」出品
平成9 (1997) 年
  奈良県桜井市無形文化財保持者指定
  刀匠月山貞利展(東京日本橋島屋)
平成13年(2001)年
  刀匠月山貞利展(日本橋島屋)
平成15年(2003)年
  模国宝春日若宮社御料太刀謹作
  奈良県指定無形文化財保持者認定
  奈良新聞文化賞受賞
平成16年(2004)年
  メトロポリタン美術館御用命の御刀謹作(貞利、貞伸合作)
  刀匠月山貞利展(東京日本橋高島屋)
平成18年(2004)年
  第62回伊勢神宮式年遷宮御料太刀謹作
平成20年(2008)年
  大阪歴史博物館「生誕百年 人間国宝 刀工月山貞一とその一門」出品


刀匠「月山貞伸」略歴

昭和54 (1979) 年
  奈良県無形文化財月山貞利の長男として奈良に生まれる



平成10年(1998)年
  京都産業大学在学中より師貞利に就き、鍛刀を修行
平成19年(2007)年
  新作名刀展出品で新人賞受賞
  山形県致道博物館「歴代月山の名刀」展出品



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